助産院ってどんなところ？出産はどんな感じ？病院と何が違うの？【体験談】

助産院とは

出産する場所の選択肢の一つとなっている場所ですが、まず大きな特徴として医師がいません。
いるのは助産師と、場合によっては看護師です。
私がお世話になったところは看護師も常駐しているわけではなく、お産が始まってから電話で呼んでいました。

医師がいないということは医療行為はできないということ。
そのため正常な分娩しか扱っておらず、助産院出産をするためにクリアする項目が多くあります。

助産院のスタンスは「生むのはお母さんで、助産院はその補助」という感じです。

病院で生んでも「生むのはお母さん」なのはあたり前のことなのですが、助産院の場合はそこが病院よりも強いです。
助産院が「産むのを助ける院」と書くところにそれが現れていると思います。

そのため妊娠中の健康指導なども病院より厳しく、健診の際に体の歪みを調整してくれたり、生産期には病院では1日1時間程度歩くように言われましたが、助産院からは3時間という指導を受けました。

次に、病院と違って個人宅のような環境でお産をしたり入院ができるのも特徴かと思います。

もちろんそれぞれの院によるかと思いますが、私は畳張りで床の間があって……という「The 和室」みたいなところで出産と入院生活を送りました。

外観もごくごく普通の一軒家だったので、初めて行ったときは危うく通り過ぎそうになりました。

また、これも院によるのかもしれませんが、基本的に入院は一組だけなので他の妊婦さんやその家族と会うことはなかったです。
ただし交流の場は作ってくれていたので、他の方と知り合う機会はありました。

助産院の役割

そもそも助産院ってなんのためにあるのでしょうか？

助産院の役割は大きく分けて3つあります。

• 妊婦健診
• お産の介助
• 保健指導

順に見ていきます。

妊婦健診

妊婦健診に関しては、初期・中期・後期の大きな健診は助産院と提携している総合病院で行いましたが、その他は助産院で行いました。

また、予定が合ったり病院側の状況次第では助産師さんが総合病院での健診に同行してくれました。
※COVID-19が流行ってからは本人しか病院に入れませんでした。

健診で病院の医師と一緒に助産師さんがエコーなどを見てくれたので心強かったです。

ちなみに提携先の病院での健診や普段の健診にきちんと行かないと、助産院では生ませてもらえません。

お産の介助

助産院と聞くとこれが一番浮かぶのではないかと思います。

提携先の病院や助産院の『決まりごと』が多くあるのですが、それも念頭に入れながらお産をリードしてくれます。

『決まりごと』というのは、例えば「お産が始まったら提携先の病院にも報告して、万が一何かあったときに対応してもらえるようにする」「陣痛後◯時間以内に出産しない場合は病院に搬送」「破水後◯時間以内にお産が始まらない場合は病院に搬送」などです。

あまり細かく覚えていなくても助産師さんがきっちりとやってくれますし、たとえ陣痛が来てもお産が進むかどうかは本人の頑張りでどうにかなることでもないので、始まってしまったらあとは委ねるだけという感じでした。

ちなみに私は自宅で破水してから助産院に行ったので「◯時までに陣痛が来なかったらどうしよう」などと少しドキドキしていました。

陣痛が本格的になってからは、足湯などでリラックスさせてくれたり、赤ちゃんの頭が上手く産道に入るように体勢を指示してくれたりしました。

そして、お産が進んでからも励ましてくれたり、いきみ方の指導などもしてリードしてくれました。

生まれた瞬間グルンと勢いよく回転して出てくるのが見えましたが、それを受け止めてすぐに胸に抱かせてくれたのも助産師さんでした。

保健指導

産前～産後まで、生後半年を越えてからもお世話になっています。

産前は定期健診での妊娠中の体のケアはもちろん、赤ちゃんの様子を見ながらアドバイスをくれたりもしました。
丁寧に診てくれるので、帰宅したい時間を言っておかないと数時間かかったくらいです。

助産院では医療行為ができないので、医療行為をするような事態にならないためにしっかりと指導してくれます。

生まれてからの入院中は、適宜赤ちゃんを預かって一人の時間をくれたり、赤ちゃんに合わせてアドバイスをくれたり、気になることは他の医師や先輩助産師に確認してくれました。

退院してからも、何か気になることがあればLINEで気軽に相談でき、場合によっては時間をとって見てくれました。

私は乳腺炎に何度かかかったので、初めてのときは症状を伝えたら対処法を教えてくれました。
2度目は辛かったのと、助産師さんの時間が空いていたのでマッサージをしてもらいました。とても痛かったです……。
それ以降はかかったら連絡だけして、アドバイス通りに過ごしました。

また、一般的には良いとされている育児法の中でも、実は赤ちゃんの発達に良くないものもあるのでその辺の指導などもしてくれます。

助産院ではできないこと

• 医療行為

「医療行為ができない」と一言で終わりますが、それによって何ができなくなるかというと、

• 帝王切開
• 会陰切開・縫合
• 陣痛促進剤の使用
• 多胎出産
• 逆子出産（出産までに戻っていれば大丈夫です）
• ガンや糖尿病など、疾患や合併症のある方への対応

などたくさんあります。

会陰縫合はできませんが、もし切れてしまったらホッチキスみたいな専用の道具で止めてくれます。
（経験者です）

助産院で出産するためには

助産院出産を受け入れてもらうためには

• 年齢
• 身長
• 体重
• 血液型※Rh－は異常ではないが、特別な処置などが必要なため助産院では対応できない
• 帝王切開経験の有無
• 子宮筋腫がある場合、その大きさ
• 逆子かどうか
• 胎児の数

などの条件を確認する必要があります。

また、上記項目の確認をして助産院出産のための条件を満たしていても、途中の検査で妊婦糖尿病や後期のGBS検査で陽性が出た場合は病院に転院することになります。

お産にこぎつけても、最中に異常が起こったり、陣痛開始から規定時間が過ぎたりしても、途中で緊急搬送されます。

私は妊娠中何度か逆子になっていましたが、健診の際に体をほぐしてくれたりしたので、生むときにはしっかり頭が下に来ていました。

助産院で生むためにしておいた方がいいこと

出産の際に「出てきた胎盤見を見てみたい」とか、育児に関して「完母で育てたい」などの希望を明確にしておくといいです。

そうすれば伝えておくことができますし、助産院に限らず生む場所によって「完母推奨」や「ミルク推奨」、「胎盤を見るのはいいけど、触るとか食べるのはNG」など各々微妙に違うことがあります。

私の生んだところは完母にしたい人が多いとのことでしたが、私はこだわりがなかったので混合で対応してくれました。
完母にしたい人にはまた少し違った対応をしているかと思います。

また、生んだ直後に先生が冗談で「胎盤食べる？」と聞いてくれ、私は機会があったら食べてみたいとずっと思っていたので「ぜひ！」と言ったら、食べ方を聞いてくれて、切ってポン酢を付けて持ってきてくれました。

病院出産の知人は、胎盤を食べたいと言ったら誓約書を書くことになったそう。
大きな病院ですが、年に2、3人ほど胎盤を食べる人がいるという話でした。

病院だと多くの妊婦さんが入院しているので、タイミングによっては機械的になってしまうこともあるかと思いますが、助産院ではお産が被らないように予約をとっているのでしっかりと向き合ってくれる印象です。
（ただし、予定日が前後するなどの関係でお産が被ることもあります）

助産院出産のメリット

• 妊娠中から自分の体としっかり向き合える
• 入院中、家族との時間をゆっくり過ごせる
• 生まれてきた子や家庭環境、自分の体などに合わせてアドバイスをもらえる
• まるで家にいるかのような環境の中で過ごせる
• 自分専属の助産師さんがいるという心強さがある

通常は大きなメリットだと感じられないことかもしれませんが、今回COVID-19が流行ったため、病院出産の場合は面会や立ち会いがNGのところが多かったですが、私は陣痛から夫が立ち会ってくれて入院中も仕事の後には泊まって一緒に育児を教えてもらいました。

また、私の家族も気軽に面会に来られました。

とにかく「自分で生む」ための力をつけるために、健診の際は体を整えてくれ、着用するものに関してアドバイスをくれたりしました。
1日3時間歩くように指導され、できなない日はスクワットや階段上り下りなど、おかげで体力が付きました。

出産当日のイメージトレーニングを実際の布団の上でさせてくれたり、両親学級が開催されなくて不安だと言ったら沐浴の指導などもしてくれました。

病院での出産だと、その日にいる助産師さんが対応してくれるので同じ人がずっと見てくれるわけではないですが、助産院出産だと妊娠中からずっと同じ助産師さんが見てくれるのでそこもありがたいです。
産後もなんでも相談できます。

助産院出産のデメリット

医療行為ができないことがデメリットだと思います。
何かあった時にその場では対応できないので病院に搬送されます。

可能性として、搬送中に……ということもありえます。

また、そうならないために指導が厳しいこともデメリットに感じられる人はいるかもしれません。

出産には必ずリスクが付きまといます。
そのため本人が希望しても、旦那さんや家族から反対されるという人もいます。

おわりに

助産院での出産に関して体験談を混じえて紹介してきました。

助産師さんとの相性もあると思いますし、助産師さんそれぞれに方針もあるかと思います。
助産院での出産を考えている方は、まずは相談してみて自分が生みたいところを探すのもいいと思います。

「助産院での出産は医療行為ができないなら怖い」という方は、出産後の産褥入院を受け入れている院もあるので、産後の体の状況次第で転院できるように相談してみるということもありだと思います！

ぜひ自分がいいと思える場所で出産してくださいね。